暁のカニヤークマリ

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午前5時、外はまだ真暗なのに、やたらと騒がしい。
大声でわめくような話声、真言(マントラ)朗唱、子供たちのはしゃぎ声が上方から響いてくる。
僕は眠気なまこをこすりながら、宿の屋上に上ってみた。

いるいる。屋上の東側に老若男女が鈴なりになっている。
まわりの宿の屋上もテラスも黒山の人だかりだ。
皆、明けゆく東の水平線をじっと見つめている。

未明の漁を終えた丸木船(カットマラム)の黒い三角帆が、灰色の波間に点々と浮かんでいる。

やがて曉の闇はしだいに透明感を増し、
薄明の光りを受けて沖合いのロック・メモリアルが白く輝き始める。

日の出だ。紅の光点が水平線を突き砕く。

パチパチパチ、拍手が湧きおこる。
大声で神様の名を叫ぶ人、口笛を思いきり鳴らしてはしゃぐ人、
寺院のかん高い鐘の音、けたたましい宗教歌、
そして、教会の鐘の音やコーランの朗唱までが風に吹かれて聞こえてくる。


ぞろぞろ、ぞろぞろ。人々は階下に降りてゆく。
路上を見下ろすと、大勢の人々が岬の方へ歩いていくではないか。
僕も慌ててあとについて行った。
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