カテゴリ:絵巻「カニヤークマリ編」( 8 )

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岬の突端にある沐浴場は、身を浄める人々でごった返していた。
芋を洗うというよりまるで「ゴボウ」を洗うような光景だ。

沖にある巨大な一枚岩をとりまくように広がる磯場が大洋の荒波を和らげてくれる。
人々は打ち寄せる波と戯れ、処女神の海原に嬉々としてもだえる。

そこは、北インド・ヴァラナシ(ベナレス)の沐浴場で感じた
「穢れを清める神聖さ」は薄まり、
沐浴場というよりむしろ海水浴場といった方が似つかわしい。

僕は腰巻き姿のまま海水につかった。

きっとこの塩水の内には、
ワーラーナスィの火葬場で焼かれた死体の灰も分子レベルで溶け込んでいるに違いない。

聖なるガンジス河はもちろん、
インド中の聖地や聖河から浸み出した諸々の灰・排泄物・穢れは、
大海原の塩によって「潔斎」され、今、僕の身体をやさしく包んでくれている。

ここ、カニヤークマリは、
すべてが混じり合う『八百会(やほあひ)』の地なのである。

最南端の沐浴場…地図
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この絵は、初めてインドを旅した1978年1月24日に描いたクレヨン画。

浜に広がる漁村を抜けた北の果ての浜辺からカニヤークマリを振り返った構図です。
右手に白亜の教会、左手にロック・メモリアルが見えます。

浜はウンチだらけ(漁村の人のトイレになっている)でしたが、あえて描き込みませんでした。
海の色はかなり忠実に表現されていると思います。
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同じ宿の屋上から北側を眺めると
浜に広がる漁村の向こうに白亜の教会Roman Catholic Churchがそびえている。
16世紀建造のゴシック調の美しい教会で、この地に住む約1万人の漁民に崇拝されている。

南インドの海岸沿いに住む漁民の多くは、カトリックのキリスト教徒である。
16世紀の大航海時代に、南インドに着いたポルトガルの宣教師たちは、
すでにキリスト教が伝わっていることにたいへん驚いたという。

その歴史はヨーロッパよりも断然古く、
紀元1世紀にシリアのキリスト12使徒の一人聖トマスが伝道したといわれる
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午前5時、外はまだ真暗なのに、やたらと騒がしい。
大声でわめくような話声、真言(マントラ)朗唱、子供たちのはしゃぎ声が上方から響いてくる。
僕は眠気なまこをこすりながら、宿の屋上に上ってみた。

いるいる。屋上の東側に老若男女が鈴なりになっている。
まわりの宿の屋上もテラスも黒山の人だかりだ。
皆、明けゆく東の水平線をじっと見つめている。

未明の漁を終えた丸木船(カットマラム)の黒い三角帆が、灰色の波間に点々と浮かんでいる。

やがて曉の闇はしだいに透明感を増し、
薄明の光りを受けて沖合いのロック・メモリアルが白く輝き始める。

日の出だ。紅の光点が水平線を突き砕く。

パチパチパチ、拍手が湧きおこる。
大声で神様の名を叫ぶ人、口笛を思いきり鳴らしてはしゃぐ人、
寺院のかん高い鐘の音、けたたましい宗教歌、
そして、教会の鐘の音やコーランの朗唱までが風に吹かれて聞こえてくる。


ぞろぞろ、ぞろぞろ。人々は階下に降りてゆく。
路上を見下ろすと、大勢の人々が岬の方へ歩いていくではないか。
僕も慌ててあとについて行った。
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約10年前に作成したカニヤークマリの「小さな旅」です。

以下のリンクからどうぞ。
インド亜大陸最南端の岬 英名CAPE COMORIN
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最南端の岬…突端部をさらにズームアップして描いてみました。

左端が突端部にある沐浴場。

右方(東)にスクロールしていくと、
縦縞模様の壁に囲まれているのが、
最南端の寺院SRI DEVI KANNIYAKUMARI TEMPLEです。
処女神クマリが祀られています。

寺院の奥には灯台が建っていて、
この地がインド亜大陸の最南端であることを
沖合いを航行する船に知らせます。

はるか喜望峰から、アラビア海とインド洋を越えて
やってきた船乗りたちは、この光を見てどんなに安堵したことでしょうか。

さらに東方面には、漁村やホテル街が広がっています。
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海。懐かしい水平の安らぎ。目前に横たわるエメラルド・グリーンの処女。

僕は、両手を思いきり広げて彼女を抱きしめようとしたが、見事にふられてしまった。
目前視界、240度。地球の丸味を感じるほど、壮大な広がりをもつ。

ついにやって来た。
ここは、インド亜大陸最南端、カニヤークマリ(CAPE COMORIN)

インド亜大陸最南端のコモリン岬=CAPE COMORINのパノラマ絵です。
現地名はカニヤークマリ=KANNIYAKUMARI。
岬の沖合いに浮かぶロックメモリアルから描きました。

ロックメモリアルの位置
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空が高い。
打ち寄せる波の音。潮の香りが全身に浸みわたってゆく。

風。快い水平の刺激。ここにはいつも「風」がある。

天頂に君臨する熱球が突き降ろす垂直の刺激を和らげて、
やさしく僕を包み込んでくれる風がある。

インド亜大陸最南端の岬…そこは
ベンガル湾・インド洋・アラビア海…
3つの大洋が出会う、
『八百会(やほあひ)』の海だ。

イラストは、岬の沖合いに浮かぶロック・メモリアルROCK MEMORIAL。
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