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最南端の沐浴場

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岬の突端にある沐浴場は、身を浄める人々でごった返していた。
芋を洗うというよりまるで「ゴボウ」を洗うような光景だ。

沖にある巨大な一枚岩をとりまくように広がる磯場が大洋の荒波を和らげてくれる。
人々は打ち寄せる波と戯れ、処女神の海原に嬉々としてもだえる。

そこは、北インド・ヴァラナシ(ベナレス)の沐浴場で感じた
「穢れを清める神聖さ」は薄まり、
沐浴場というよりむしろ海水浴場といった方が似つかわしい。

僕は腰巻き姿のまま海水につかった。

きっとこの塩水の内には、
ワーラーナスィの火葬場で焼かれた死体の灰も分子レベルで溶け込んでいるに違いない。

聖なるガンジス河はもちろん、
インド中の聖地や聖河から浸み出した諸々の灰・排泄物・穢れは、
大海原の塩によって「潔斎」され、今、僕の身体をやさしく包んでくれている。

ここ、カニヤークマリは、
すべてが混じり合う『八百会(やほあひ)』の地なのである。



下の地図の中央部…オレンジ色の小さな四角がふたつあるあたりで描きました。

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